医療保険は病気で通院したり、入院したりするときに入っていれば経済面で手厚いサポートが受けられる保険です。
各保険会社はさまざまなプランを用意しているので、契約者は自分や家族に合ったプランを契約し保険料を払うことで病気になった時のリスクに備えることができます。
ただ、月々の保険料を支払っていても病気にならないことも場合によっては考えられるため、医療保険は必要かと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回は、本当に医療保険は必要なのか解説します。
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医療費の自己負担額は少額で済むケースがほとんど
「入院した時のために」という理由で医療保険に加入し、毎月一定額の保険料を支払っている方も多いですよね。
仮に毎月4,000円支払っていたとしたら、1年で4万8,000円です。これを30年間支払い続けるとしたら、144万円になります。ただ、その金額を長期間払い続けたとして、元が取れるのかというと残念ながらそうでない場合がほとんどです。
生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、直近の入院時の自己負担費用は平均で20万8,000円となっています。また、1日あたりの入院費用のうち自己負担費用は、平均で2万3,300円です。
自己負担費用とは、公的な医療保険である健康保険の対象外になっている費用が該当します。国民皆保険である日本では、現役世代の患者が医療費を支払う割合は原則3割です。
入院時にかかった食事代や差額ベッド代、通院する際のタクシー代などが自己負担費用になります。
仮に3日入院して1日あたり1万円が医療保険から支払われたとしても、入院給付として受け取れるのは3万円ですから、払い込んだ保険料のもとはとれません。
もちろん、人によって入院する頻度などは違ってきますが、多くの場合が医療保険に入らないでも貯金さえあれば支払えてしまうものなのです。
高額な医療費の支払いも「高額療養費制度」が大きな味方に
入院費用が膨らみ、数万円や数十万円では済まない場合もなかにはあります。支払い時に100万円超えの支払いを請求され、驚いた経験がある方もいるかもしれませんね。
その場合は、所得によって自己負担額が決められている「高額療養費制度」を活用することで医療費の支払い額を大幅に軽減できるのです。高額療養費制度とは、一定の金額を超えた金額分が払い戻される仕組みになります。
また、収入にもよるのですが患者の年齢が高くなるにつれて、自己負担限度額は少額になるような仕組みになっています。
そのため、年齢を重ねて病気にかかりやすくなり入院する頻度が高くなったとしても、少ない自己負担額で済むように考えられているわけです。
そう考えると、医療保険に入らずに貯金から入院時に必要な医療費を支払うという考えがあるのも理解できるのではないでしょうか。
現役世代で年収約370万~770万円の自己負担額はいくらなのか
続いて、現役世代と言われる70歳未満で年収約370万円~770万円の方の自己負担額はいくらなのか見ていきます。
70歳未満の現役世代が入院費用として90万円かかった場合、3割負担なので27万円支払う必要があります。そこに高額療養費制度を適用すれば、年収約370万~770万円の場合、以下のような計算式になります。
8万100円+(90万円ー26万7,000円)×1%=8万6,430円
自己負担限度額は8万6,430円です。4回目以降の自己負担額は、4万4,400円となります。
前もって医療費が高額になるとわかっている場合は、「限度額適用認定証」を病院の窓口に提示することで自己負担額のみ支払えばいいことになります。
ただし、入院時の食事代や差額ベッド代、先進医療、自由診療は対象外となる点には十分注意してください。
医療保険が必要か迷ったら入らないことも考えてみよう
先ほどの内容を読んで、「医療保険が必要か」「他のことにお金を使えるのではないか」と考えた方は、医療保険に入らないという選択肢を一度考えてみるといいでしょう。
たとえば、毎月4,000円の保険料を払っていたとしたら年間で4万8,000円、30年間で144万円ものお金が医療保険に入らなければ浮くのです。
医療保険は掛け捨て型がほとんどですので、思い切って貯金して万が一のことに備えればお金に色を付けることなく所有できます。
使い道が指定されていないお金は、その時の家計の状況に合わせて生活費や教育費、老後資金などさまざまなお金に充てることもできてしまうのです。
「病気になった時に備えて」という目的で加入する医療保険ですが、実は多くの場合が公的制度が適用され少額の自己負担額で済むことを覚えておいてください。
本当に医療保険が必要なのか迷ったら、思い切って病気をしたり入院したりした時に備えた貯金をやってみてはいかがでしょうか。
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